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体のケアと健康・防災を考えるブログ

健康に関する情報を中心に、防災に関することもあわせて取り上げていきます。

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NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」の訪問診療医・小澤竹俊さんの素晴らしい患者対応に感動!

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昨日のプロフェッショナルを見ていて、とても感動しました。

いや毎回この番組は感動させられる内容が多いのですが、今回は特に医師から患者への「人としての丁寧な対応」に非常に感銘を受けました。

www.nhk.or.jp

訪問診療を専門に行っているクリニックの院長さんらしいのですが、訪問診自体を知らなかったので、その時点で興味を持ちました。

番組が進むにつれて、医師と患者さんとの関係性、医師の対応力に目を見張りつつも、それ以上にいつの日か、それも近々自分の周りにも関わってくるだろう親の死というものを強く意識させられた内容でもあり、とても他人事とは思えずに普段の番組とは別次元のレベルで食い入るように見入ってしまったのです。 

 

訪問診療とは?

 

訪問診療そのものは昔、祖母が自宅で倒れたときにかかりつけのお医者さんに来ていただいて診察してもらったことぐらいしかイメージがありませんでした。

小澤さんのホームページを拝見させて頂くと、

 

在宅医療は通院が困難な人の医療を生活しているご自宅(介護施設を含む)で継続して医療を受けるために訪問をして医療を提供することです。

めぐみ在宅クリニック

 

と説明されており、さらに病院では24時間体制で診療の準備を整えていること、そして医師や看護師のみならず、介護職員とも連携して対応しているとのことでした。

確かに番組でも動けなくなった患者さんのために、訪問介護で使うお風呂を自宅の部屋に運んで来ていましたね。

普通はそういうことは訪問診療では行わないのかもしれません。

患者さんもとても幸せそうな表情をしていたのが印象的でした。

在宅医療

 

患者さんの声に真摯に耳を傾ける

  

小澤さんの話し方のスタイルは非常に特徴的で、とにかくじっと相手の目を見つめて話す相手の言葉をゆっくりと反復するしばし沈黙する自分が何か語るときは、感情を抑えてはっきりとした口調でゆっくり話す、この4つの対話法で患者さんの悩みや苦しみを知り、これからの対応を共に模索していこうとするものでした。

 

出典:Gガイド番組一覧

 

その対話法はおそらく心理療法や、そういった医療現場でのヒアリング技術としてすでに確立されたものかもしれませんが、少なくとも画面から通してみる小澤さんの表情と語り口からは、そうした技術的なあざとさは微塵も感じられませんでした。

もちろん、この対話法にはちゃんとした意味があるといいます。

中でも、

 

・相手の言葉をゆっくり反復することで、自分(患者さん)の症状を客観的に認識してもらう

・沈黙することで患者さんに自身の考えや感情をまとめてもらう

 

という2つは確かに独特のもので、ほかのゆっくり話を聞くや、ゆっくり話すは比較的よく耳にする方法ですが、上の2つは少なくとも私自身は初めて知った対話法でした。

もちろん小澤さんの相手の目を見つめる真摯さ、話す言葉や態度の誠実さが基調にあればこそ、こうした技術的なものが生きてくるのだと感じました。

やはり人間としての優しさが、患者さんやそのご家族に伝わることで、安心を得られるのでしょうね。

また患者さんの気持ちを整理してもらうための方法の一つとして「ディグ二ティセラピー」というケアを実施されているのも印象的でした。

ディグ二ティセラピーというのは、小澤さんのクリニックによれば、

 

ディグニティセラピー(Dignity Therapy)は、終末期の患者のスピリチュアルケアの一つとして患者の尊厳(dignity)を維持することを目的とする精神療法的アプローチの1つです。

めぐみ在宅クリニック|医療者向け|ディグニティセラピー

 

と規定されています。

番組では具体的な方法として、患者さんがこれまで成し遂げてきたことや伝えたいことを語ってもらい、それを聞き取りで文章にして残すというもの。

実際にこれを行った後、身体が弱って話ができなくなった患者さんの周囲にご家族が集まり、奥様がその手紙を読まれていたシーンがあり、非常に感動しました。

そのすぐ後に患者さんは亡くなられたのですが、この思いを伝えられたおかげで、患者さんはもちろんのこと、奥様を始めとするご家族の方々の心が最も救われたのではないかな・・と思いました。

そうした診察法の根底にあるのが、小澤さんが心がけている「決して決めつけない」ということです。

患者さんの一人一人、そしてご家族が、どうやれば穏やかに過ごせるか。

そのために患者さんに語り掛け、その家族にも語り掛け、共に模索して、それぞれの診察方法を確立していくのです。

そのため一回の診察時間は一時間近くになるといいます。

死を目前にして不安な心持ちにいる患者さんに、少しでも穏やかな気持ちでいてもらうために、どうすればよいのか?

そしてそのご家族も穏やかに過ごしてもらうためには?

その結果として、真摯に患者さんの目を見て離さずに語り掛け、反復し、そして確信をもって疑問に答える「対話法」が存在するのだと。

それは決してマニュアルでもなく、逆に直感からくるものではない、小澤さん自身が長年の医療現場での体験や、臨床倫理学で学んだことがベースになっているといいます。

番組の後半では、がんで余命いくばくもない患者さんとそのご家族に寄り添う小澤さんの様子を映し出していましたが、まさに人としての誠実さ、優しさがにじみ出るようなひとつひとつの言葉や対応に患者さん自身も、いやそれ以上にご家族の方が癒されていた、そう思えて仕方ありませんでした。

 

訪問診療医としての小澤さんの半生

 

出典:ガジェット通信 

 

1963年に東京に生まれた小澤さんは、高校2年生のときに「人の力になりたい」と医師を志し、東京慈恵会医科大学医学部医学科に入学、卒業後は山形大学大学院で医学研究科医学専攻博士課程を修了した後、山形の過疎地で救急医療や農村医療に携わります。

その後横浜の医院でホスピスに従事し、2006年に現在の「めぐみ在宅クリニック」を開業。

訪問医療だけではなく、草の根でその重要性を伝えるために学校での授業や、一般向けの講演会を開いて精力的に活動を続けてこられています。

またクリニックで毎月欠かさず続けている勉強会では、医師や看護師だけでなく、ケアマネージャーの方など介護業界の方と共に訪問医療について研鑽を続けてきているそうです。

番組でもケアマネージャーの方が「小澤さんでなければこんなことはできなかった」と業界の垣根を越えた診療体制の構築に大きく心を動かされているようでした。(このくだりは少しうろ覚えですので、ひょっとしたら出演されている方の発言が誤っているかもしれません)

ただ小澤さんも、ここまで順風万般に訪問医療医師としての道を歩んできたわけではありませんでした。

救急救命医を携わった後、ホスピス(終末医療)の道に進んだときのことです。

ちなみにホスピスとは「死を目前にした人の身体的ならびに感情的な苦しみを緩和する目的でつくられた療養所や病院」のことで(ホスピス(ホスピス)とは - コトバンクより)、基本的には命が助からない患者さんへの医療が行われる場所です。

小澤さんがそこで出会ったのは、決して穏やかに死を迎えようとする患者さんばかりではなく、中には「どうしても生きたい」「早く死なせてくれ」という、叶うことのできない願いを訴えかけてくる方たちもおられたということ。

これに対して自分が何もできず、無力感を感じて苦しんだといいます。

そしてその結果、悟ったのです。

自分はこの人たちの力にはなれない。ただそばに寄り添うことはできる

と。

「最後まで穏やかな日々を過ごせるようにしてあげたい」

番組の同行取材で赴いた患者さんのご家族や患者さんご自身に、小澤さんが常に語り、話しかけてきた言葉でもありました。

 

最後に

 

小澤さんがここまで患者さんやご家族に寄り添える原動力は何なのか?と思った時、それはプロフィールで紹介されていた『人の力になりたい』という思いはもちろんのことですが、それ以上に氏の眼差しや問いかけの言葉の力強さの奥底に何か確信めいたものがあることに気づきました。

そう、それは「信仰に基ずく信念」ではないか?と。

実際に氏のプロフィールをwikipediaで見ると、

 

日本の医師。東京都出身。東京慈恵会医科大学医学部医学科卒、現在、めぐみ在宅クリニック(在宅療養支援診療所)院長。一般社団法人 エンドオブライフ・ケア協会理事。クリスチャン。小澤竹俊 - Wikipediaより)

 

とあり、やはりキリスト教を信仰していた方なんだなあと思いました。

私の親戚にもクリスチャンは数人おり、みな献身的で優しいのですが、なにか眼差しの奥に力強いものが存在しているのは共通しています。

遠藤周作「沈黙」

それはきっと目に見えない確信のようなものが精神の中に根付いている「心の軸」のようなものなんだろうなと、前々から思っていました。

そして小澤さんの目や語り口にも同じものを感じ、実際に調べてみると氏も信仰をもっていたのだと知り、「なるほど」と。

もともとホスピスそのものがキリスト教会から発展した歴史を持つものですから、クリスチャンたる小澤さんがその道に従事するのは必然だったんでしょうね。

最後に小澤さんは番組最後の「プロフェッショナルとは?」との問いに、こう述べられていました。

「自分の弱さを認めつつ、それから逃げないこと。支えようとしている自分が実は一番支えを必要としている。それを自覚した人がプロフェッショナルだと思います。」

常に自分を戒め、他者を生かそうとするクリスチャンの精神と、小澤さんの人間的な優しさや誠実さ、人に対する真摯さこそが、こうした姿勢を可能にしているのだろうな、と確信した言葉でした。

これからも多くの患者さんと、そのご家族の「揺るぎない力」になってほしいなと思います。

*参考までに「ホスピス緩和ケア病棟を持った施設」の一覧サイトを貼っておきます。

[特定非営利活動法人 日本ホスピス緩和ケア協会]

 

追記

3月27日放送のNHKスペシャルで認知症について特集が組まれていました。

きたるべき2025年には認知症患者が1300万人を突破するということで、認知症を社会としてどう受け入れるべきかを討論する内容でした。

その中で紹介されたオランダのビュートゾルフという在宅ケアの団体が取り上げられていて、そこでのケア内容がすごく小澤さんの行われていることと似ているように感じました。

juntarouletter.hateblo.jp

この団体が行っているのは、それまでの在宅ケアと異なり、看護師一人が全てのケアを任せられるというもの。介護士や作業療法士、医師、看護師などの分業ではなく、看護師が現場で一人で行うことで、より相手に寄り添う密なケアが可能になるとのことでした。

「介護される相手をよく知ること」

このマインドが小澤さんのそれと同じであるように感じましたし、こうすることでサービスとしての介護だけでなく、それを提供する側のプロ意識、責任感も芽生えるのだろうとも思います。

これらを見て、これからの医療や介護の流れは確実に個々人に寄り添った形で進んでいくのだろうなと感じました。

 

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