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NHKスペシャル「認知症社会」で知った介護ケアへの新たな試み

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高齢化社会といわれて久しいですが、実際に頻発している最近の社会問題を見ても、そのことを如実に象徴しているような気がします。 

特に高齢者の徘徊や交通事故、中でも交通事故では高齢者が被害者になるよりも、加害者になってしまうところに、近年の問題があるのではないでしょうか。

こうした問題と認知症がダイレクトに結びつくわけではありませんが、認知症患者が増えるにつれて、それがもたらすリスクは確実に上がるのではないかとも思います。

今回のNHKスペシャルは、そんなきたるべき認知症社会へのさまざまな提言・アイデアを紹介していました。

www.nhk.or.jp

 

8年後には1千万人を超す認知症患者が!

 

番組では冒頭で「2025年に認知症になる高齢者が1300万人になる」という驚異的なデータを示していました。

 

from: McIntyre Elder Law

 

1300万人といえば、国民の9人のうち1人にあたる数で、皮膚感覚でも身の回りにそうした高齢者の方をいたるところで目の当たりにする可能性が増えるわけですね。

そうなると問題になるのは、孤独死や認知症患者を持つ家庭の介護疲れだといいます。

番組では50歳になる男性が認知症を患った親御さんの介護のために離職して、つきっきりで介護をしている姿を映していました。

男性は疲れ切った顔で「貯金を崩しながら介護している。これからずっと介護のために生きていくのだと思うと気が重い」とおっしゃっており、認知症を持つご家族の心労が画面を通じてダイレクトに胸に伝わってきました。 

スタジオでは認知症に関わる様々な分野の専門家や、一般の人々が集まって、来るべき認知症時代について議論を交わしており、その中でも特に印象的だったのは、実際に認知症と診断された二人の男性です。

一見して認知症には見えない、元気そうなお二人。

それでもふとした時に症状が出てしまうといいます。

このような普通の方々でさえなってしまう認知症・・・

それだけこの病気が身近になっているという認識を改めて持ちました。

 

認知症予防への取り組み

 

そんな中、海外での認知症対策として「早歩きでウォーキングすること」や「野菜や魚を中心の食事を行うこと」「記憶力を使うゲームを行うこと」を続けたところ、認知症の予防率が25%にまで上がったという結果が出たそうです。

また日本でも介護の専門家がホステス役になって地域で「キャバレー」を開くことで、ダンスをしたり、歌を歌ったり、おしゃべりしたりと楽しくコミニュケーションを取ながら、健康相談もでき、専門家とのつながりもできるような催しが開かれるなど、認知症に向けた柔軟なアプローチが試みられているほか、高齢者が集まる場所に専門家が訊ねていって健康の相談を受けるという、新しいスタイルの介護ケアが模索されているようですね。

ただ認知症患者への対応で困るのは、「自分を認知症と認めない」「診断をうけない」ということ。

そこで先ほどのような試みが行われるというのは「認知症だからといって特別な目で見ず、こちらから地域社会に入り込んでいくことで、相談出来やすい体制を作っていくことが大切」という理念があるからこそなのです。

 

オランダにみる新たな介護システムの構築とは

 

介護先進国のオランダでは「ビュートゾルフ」という組織が、従来ににない運営方法でその規模を拡大しつつあります。

Home - Buurtzorg

ビュートゾルフとは、訪問看護・介護、リハビリの機能を持つ非営利の在宅ケアの団体。2007年に4人のナースで起業し、その後、たった7年のあいだに約750チーム(約8,000人)が活躍する一大組織へと急成長を遂げたとか!

www.kango-roo.com

この団体の最大の特徴は「一人の職員がすべてを任される」ということ。

通常なら、医師、介護士、看護師、リハビリ、ケアマネジメントなど分業形式で在宅ケアを運営していくのですが、この団体はそれを一人の看護師だけですべてを行うのです。

それによって何が起きるかというと、一人が全て診ることで、介護される方の好みや癖を把握して個人に合った対応がしやすくなるということ、分業体制を無くすことで、人的や運営面でのコストを削減できること、があります。

さらに驚いたのが、このシステムにしたことで、職員のモチベーションがアップし、離職率が大幅に下がったこと。(給与水準は日本と変わらないにも関わらず!)

オランダではもともと地域社会に寄り添った形で、少人数のチーム体制で看護や介護予防を行っていたようですが、1990年代に入って、介護ケアが市場経済指向へと移行し、それまでの地域密着型のケア組織から、福祉団体、病院などが統合され大規模化することで、ケア基準が全国で統一されるようになりました。

そうなると介護、看護、リハビリをどれだけ提供できたかという出来高制になってしまい、その内容も画一的になってしまったことで、オランダにもともと在った患者個々人に沿った地域密着サービスがなくなってしまったそうなのです。

こうした流れの中でできたビュートゾルフは、利用者のみならず、第一線で働いてきた専門家のくすぶっていた気持ちを一気に掴んだということになりますね。

看護師さんではありませんが、今月の初めに放送されたNHKプロフェッショナルで訪問診察医の小澤竹俊さんが出ており、この方の診察方法も非常に綿密で、患者さんの状態やご家族の気持ちに沿った往診を心がけておられるようでした。

juntarouletter.hateblo.jp

患者個々人にあった診察を行うという点ではビュートゾルフと同じで(小澤さんはターミナルケアの訪問診察医ですが)、そういう方が多くの患者さんの支持を受けているというのは、もはや時代の流れが地域密着型、患者一人一人に沿う医療や介護ケアの方向に向かっていっているような気がします。

ビュートゾルフに関しては、オランダと日本とでは歴史や社会風土が異なるので、この形式が合うとは一概に言い切れませんが、現在模索されている地域密着型の介護ケアシステムが、この方法に沿った形で発展すれば、どれだけ多くの利用者や職員が喜ぶかなと思いますね。

 

番組の最後に

 

番組では最後にスタジオにきていた方々にそれぞれの意見を伺っていました。

中でも印象的だったのは、やはり認知症にかかっておられる男性でした。

その方はデイケア(たぶんそうだったと思います)で施設に通っておられていて、そこで自分の好きな仕事や作業を選べるといいます。

「仲間がいて話し合える環境がいい」ともおっしゃってましたし、「楽しく暮らしてるけど、でもときどき裸足で街を徘徊することもあるから、そのときは声をかけてもらえれば嬉しい」とも言っておられました。

終始気持ちの良い笑顔で話しておられた男性なので、とても認知症を患っておられるとは思えなかったのですが、こういった発言をされてもなお明るい雰囲気を失わないでいられるというのは、やはりケア施設での「仲間」や「相談できる専門家」の存在が心の支えになっているのでしょうね。

2年ほど前に「アリスのままに」という映画を鑑賞しましたが、そこではアルツハイマー病にかかった主人公を家族が支え続ける様子が描かれていて、周囲のケアこそがこういった病気には最も大切なのだなということに気づかされました。

yougaku-youga.hateblo.jp

現在行われつつあるロボットの活用や外国人研修生による介護ケアも良いの思うのですが、まずは現行の制度の改革を行うことで、今ある人材や組織を生かすことから始めるべきなのではと思います。

行政や地域が協力して、ビュートゾルフのような地域密着型のケアをもっと増やしていく、そうすることで利用者も働く人も幸せにしていけるのでは・・・などなど、さまざまなことを考えさせられた今回のNHKスペシャル「認知症社会」でした。

 

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